たたきいろいろ

講師:南麻布「分とく山」総料理長・野崎洋光さん

たたきと変わりだれ

若い人たちの間でイタリア料理の「カルパッチョ」が人気ですが、江戸時代からある「たたき」は、 和のカルパッチョですね。たれや薬味を工夫すれば、バリエーションもいろいろ考えられます。 鮮度のよい魚が手に入ったら刺身一辺倒でなく、「たたき」にすることをおすすめします。 そこで、ポン酢もよいのですが、たれにひと工夫してみましょう。
鰹のたたきには酒盗(しゅとう)を使います。酒盗は、ご存知の通り、 鰹の内臓の塩辛で酒の肴にはピッタリの珍味です。鰹同志で味の相性もよいのは当たり前ですが、 コクのある「鰹酒盗たたき」はご飯にも合う絶品たたきですよ。 「スズキの湯霜たたき」は、炊いた金芽米ご飯を使った変わりだれをかけました。 長芋やきゅうりなどが入っていますのでヘルシーなたたきになりますね。 「タチウオのたたき」には、梅肉をきかせたたれを用意しました。これに万能薬味をたっぷりのせれば、 和のカルパッチョ、サラダ感覚の「たたき」の出来あがりです。大根やきゅうりや玉ねぎなどありあわせの野菜のせん切りなどを添えてもよいでしょう。

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鰹酒盗たたき

【材料】
  • 鰹・・・1サク(皮つき)

  • たれ
  • 《a》
  • 味醂・・・30cc
  • 酒・・・30cc
  • 《b》
  • 醤油・・・60cc
  • 酒盗・・・30g

  • 葱みじん切り・・・大さじ2
  • おろし生姜・・・少々
【作り方】
  1. 鍋に《a》を合わせ、火にかけて、アルコール分を煮切り冷ましてから、《b》に混ぜる。
  2. 鰹を2つに切り分け塩をふり、網の上で皮目から強火で焼く。包丁で刺身に切り、のたれに浸しておく。
  3. 5分程浸してから器に盛り、万能薬味をのせてから、たれをかける。

野崎さんからのワンポイント

「鰹の酒盗たたき」は、酒盗だれに特徴があります。酒盗は鰹の内臓の塩辛ですから“親子づけ”とでもいいましょうか。私は自家製の酒盗をいつも使いますが、市販品を活用してくださって結構です。ポン酢だれやにんにく醤油などを用いる従来のたたきとは違って、コクがあるたたきに仕上がります。調理上のポイントは、焼き網をよく熱しておくこと。強火で皮目をジュッと焼き、皮目の甘みと香ばしさを引き出します。酒盗だれに合わせる味醂と酒は煮切ってアルコール分をとばし、冷ましてから酒盗、醤油などと混ぜてください。焼いたら氷水などで冷やさずサクのまま酒盗だれにつけます。すぐに食べたい場合は、刺身のように切りつけてたれにつけると5分ほどで味がなじんで食べられます。

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万能薬味

【材料】
  • 《a》
  • わけぎ・・・2本
  • 貝割れ菜・・・1パック
  • 茗荷・・・3個
  • 大葉・・・10枚
  • 生姜・・・30g
【作り方】
  1. わけぎは小口切りにし貝割れ菜は2cmの長さに切る。
  2. 大葉は半分に切り、せん切りにし、茗荷も縦半分に切り、小口切りにする。
  3. 生姜はみじん切りにする。
  4. 《a》を全部合わせ、水で軽く洗い水気をきる。

野崎さんからのワンポイント

5種の香味野菜を混ぜ合わせた「万能薬味」は刺身、和え物、麺類や汁物など、どんな料理にも使える重宝な薬味です。密閉容器に入れ、冷蔵庫に保存しておくとよいでしょう。冷奴や納豆などにちょっとトッピングするだけで味もワンランクアップし、気の利いた小鉢料理になります。

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太刀魚たたき

【材料】
  • 太刀魚(皮つきでおろしたもの)・300g
  • 酢・・・大さじ2
  • 万能薬味・・・適量

  • たれ《a》
  • 醤油・・・大さじ2
  • 酢・・・大さじ1
  • 梅肉・・・大さじ4
  • だし汁・・・200cc
  • 片栗粉・・・大さじ1/2
【作り方】
  1. 《a》を鍋に合わせ火にかけ、片栗粉でとろみをつけ冷ましておく。
  2. 太刀魚を15cmくらいの長さに切り、軽く塩をふり皮目を焼き、熱いうちに包丁で切る。酢をかけなじませる。
  3. 器に盛り、の梅肉たれをかけ、万能薬味をのせる。

野崎さんからのワンポイント

旬の太刀魚は、バターソテーや塩焼きにするご家庭が多いようですが、たたきにしてみるとまた違った味わいが楽しめます。 皮目を焼く要領は鰹と同じですが、身の厚さが違いますので、焼きすぎないように注意しましょう。
梅肉だれでさっぱりとしたたたきにします。梅肉には酸味がありますが、酢や醤油を加えることで全体の酸味がまろやかになります。たれは材料によくからまなくてはその役割は果たせません。この梅肉だれもある程度の粘度をつけるために片栗粉でトロミをつけるのがポイントです。また、皮目を焼いたら熱いうちに酢をかけ、たたいてなじませるのもコツです。それをするとしないとでは、仕上げにかけるたれとのなじみが違ってきます。

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スズキの湯霜たたき

【材料】
  • スズキ・・・300g(皮つき1サク)
  • 万能薬味・・・適量
  • 刻み海苔・・・適量

  • たれ《a》
  • 金芽米ご飯・・・50g
  • 長芋・・・100g
  • 胡瓜・・・50g
  • 梅肉・・・50g
  • 醤油・・・15cc
【作り方】
  1. たれを作る。フードプロセッサーに金芽米ご飯を入れ、ペースト(団子)状になったら梅肉、長芋、胡瓜の順に少しずつ入れ、よく混ざったら最後に醤油を加える。
  2. スズキの皮を上にしてサラシをのせ、上からお湯をかけ皮が柔らかくなったら氷水に取り冷やして水気をふく。
  3. スズキを刺身の状態に切り、のたれをかけ万能薬味をのせ、刻み海苔をのせる。

野崎さんからのワンポイント

ご飯を使ってトロミをつけるとともに旨みを加えた変わりだれを考えました。フードプロセッサーがない場合、すり鉢を使うという手がありますが、今の一般家庭の台所ではすり鉢がない場合の方が多いと聞きます。工夫すれば裏ごし器にかけても作れます。その場合、ご飯はおかゆ状にしてやわらかくしておき、合わせていけばよいと思います。材料を全部一度にフードプロセッサーにかけると混ざりにくいので、まずご飯からつぶしていき、少しずつ他の材料を加えていくとよいでしょう。スズキは湯霜にしますが、皮がかみ切れるくらいの柔らかさにするのが目的ですから、サクの大きさによってかける湯の量を加減してください。皮が縮んで反るのが目安です。

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