季節の魚のづけ(醤油づけ)ご飯

講師:南麻布「分とく山」総料理長・野崎洋光さん

づけご飯について

「づけ」というと耳慣れない方も多いかもしれませんが、おすしの好きな方なら「鮪のづけ握り」でピンとくるかもしれません。 「づけ」は「醤油づけ」の略語で、江戸時代のすし屋さんで誕生した調理法です。当時は東京湾でも本鮪が獲れたそうですが、冷凍、冷蔵設備はまったく無く、せいぜい井戸に吊るして物を冷やす時代でしたから、夏などは1日2日で傷んでしまう状態でした。ですから、当時のすし屋さんでは、生魚はほとんど扱わず、茹でたり、煮たり、酢と塩で〆たりという「保存方法」を施したネタが大半でした。「づけ」もこの保存方法の一種で、醤油(味醂との合わせ汁)の中に鮪の赤身をサクのままつけ込み、醤油の塩分で日持ちさせるという知恵から生まれた手法です。冷蔵庫が普及した今日では敢えて必要のない手法ですが、江戸前ずしの伝統技法でもありますし、醤油の香りと味、アミノ酸の旨味が加わるため、生の切り身とまた違った美味しさがあり、これをとりわけ好む人もいれば、かたくなにこの技法を守っているすし屋さんも少なくありません。 「づけ」は第1に「保存手段」であったこと、第2に「生魚とは一味違った美味しさ」を生み出す調理法である、と言えます。と同時に酢飯や温かいご飯と切っても切り離せない存在であるとも言えます。 今回は、づけの持ち味をいかすため、たきたての金芽米と味わってみました。(金芽米のおいしい炊き方はこちらをご覧ください。

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鮪(まぐろ)と帆立のづけ

【材料】
  • 鮪・・・200g
  • 帆立・・・4個
  • 醤油・・・150cc
  • 味醂・・・75cc
【作り方】
  1. 味醂を鍋に入れ火にかけて煮切り、醤油を加えてから火を止め、冷ます。く
  2. 鮪はサクのまま、すくい網にのせて熱湯に浸し、手早く氷水に取り、水気を拭いて、のつけ汁に30分つける。
  3. 帆立は手で3〜4つに割き、すくい網にのせて熱湯にさっと浸し、氷水に取り、水気を拭いて、に10分つける。
  4. 鮪は汁気をきり、包丁で切る。帆立も汁気をきる。
    ※好みで海苔、包丁でたたいた山芋を添える。

野崎さんからのワンポイント

つけ汁の基本は醤油2:味醂1の割合です。味醂は煮切ってアルコール分をとばすと苦みなどが出ません。鮪と帆立はさっと湯にくぐらせて湯霜します。鮪の表面が白く変わる程度に湯霜するとそれ以上につけ汁の味が入りすぎないので生の旨みも残ります。帆立は包丁で切らず手で割くほうが歯ごたえが残り、つけ汁ものりやすくおいしくなりますよ。 つけ汁が少なめで材料が上に出るようならペーパータオルを材料の上にのせると上面までつけ汁がまわります。1回つけたつけ汁はもったいないので捨てないでください。2回くらい使えますし、炒め物や煮物などに使ってください。

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鯵(あじ)の胡麻づけ

【材料】
  • 鯵・・・2尾
  • 分葱(わけぎ)・・・1本
  • 黒炒り胡麻・・・20g
  • 醤油・・・大さじ4
  • 味醂・・・大さじ2
【作り方】
  1. 味醂を鍋に入れ火にかけて煮切り、醤油を加えてから火を止め、冷ます。
  2. 分葱を細かく刻みすり鉢でする。さらに黒胡麻を加えてすり混ぜ、でのばす。
  3. 鯵は三枚におろして皮を取り、そぎ身にしてのつけ汁に15分つける。
    ※青菜を茹でたものと添えるとよい(特に芹、春菊など)

野崎さんからのワンポイント

三枚におろした鯵の身は薄いので、湯霜にはしません。ゼイゴや小骨は必ずとってくださいね。口にあたりますから。黒胡麻は白胡麻に代えてもいいでしょう。黒胡麻づけは鯵以外の青魚をはじめ何でも応用がききます。白胡麻の場合は鯛などの白身魚が向きます。鯛の胡麻づけは「鯛茶漬」が有名ですね。 鯵の中骨は捨てずに活用しましょう。塩をして焼いてから煮出すとよいダシがとれます。吸物や味噌汁に使ってください。素揚げにするとポリポリとおいしい骨せんべいになり、いいおつまみになります。

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新生姜の甘酢漬け

【材料】
  • 新生姜・・・100g
  • 塩・・・少々

  • 《a》
  •  水・・・50cc
  •  酢・・・50cc
  •  砂糖・・・大さじ1
  •  塩・・・少々
【作り方】
  1. 鍋に《a》を合わせて火にかけ、ひと煮立ちさせてから火を止め冷ます。
  2. 新生姜はぬれ布巾で汚れを取り、1ミリ位のスライスにして水で洗い、水気をきったら、お湯でさっと茹で、ザルに取る。
  3. 塩を軽くふってから、うちわであおいで冷まし、水分をとばしてからの甘酢につける。

野崎さんからのワンポイント

薄切りにしてさっと湯通ししてから軽く塩をふります。甘酢につける前にここで水分をとばすことがポイントです。ぐっと日持ちがよくなります。容器に入れて冷蔵庫で保存すれば1カ月は持ちます。焼き物に添えたり、きざんでご飯に混ぜてちらしずしにしたり、薬味や口直しにもなります。 棒生姜の場合はコップなどに立てて甘酢に漬けるとよいでしょう。

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