おかずに合う万能薬味料理いろいろ

講師:南麻布「分とく山」総料理長・野崎洋光さん

薬味のはなし

 「薬味」は、「味覚を刺激して食欲を進める香辛料の総称」(『飲食辞典』本山荻舟著・平凡社刊)とあり、代表的なものとして、ワサビ、ショウガ、サンショウ、ネギ、セリ、ウド、ダイコンおろし、ミョウガ、シソ、ミツバ、シュンギク、タデを挙げ、保存品として、ノリ、カラシ、七味トウガラシ、カラシ等を挙げています。
 また、別の辞典ではその語源を「加薬味」の略称とあり、料理に添えたり、多く加えたりすることで、栄養価を高め、滋養を高める意図をうかがい知ることができます。 「薬」の文字が使われていることから解かるように、それぞれ「薬効成分」を持っており、例えばショウガ(生姜)には、全身を温め、胃液の分泌を高め消化をよくしたり、発汗作用を高め、風邪に効果があります。シソ(大葉)は、発汗作用による解毒効果を持ち、胃腸の働きを高め、痰を切る効果もある、という具合で、どれを取っても何らかの形で身体に良い効果をもたらすものです。その多くが中国では漢方薬として重要視されていることから、漢方の薬効体系の枠組みの中から、その効果が重視されるようになったものかも知れません。
 もう一つ「薬味」の効果で忘れてはならないのは「殺菌力」です。ワサビやショウガ、カラシ等は特にその効果が高く、生魚である刺し身を好む日本人には無くてはならない殺菌剤であったといえます。特に今日のように冷蔵、冷凍技術がない時代には尚のこと重要な食材であったことはいうまでもありません。単に料理の添え物、付きものとしてだけでとらえるだけでなく、各種の薬味の効用や使い方を改めて考えてみるのも大事なことかと思います。

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万能薬味

【材料】
  • 分葱(わけぎ)・・・2本
  • 貝割れ菜・・・1パック
  • 茗荷・・・3個
  • 大葉・・・10枚
  • 生姜・・・30g
【作り方】
  1. 分葱は小口切り、貝割れ菜は2センチに切る。茗荷は縦半分に切り、小口切りにする。大葉も半分に切り、小口切りにする。生姜はみじん切りにする。
  2. 切ったの材料を合わせ、水で軽く洗い、水気をきる。

野崎さんからのワンポイント

万能薬味に使う5種の野菜は、それぞれ単独で食べると苦みや辛みの強いものですが、これらを合わせると旨みに変わります。是非一度試してみてください。そうめん、冷や奴、冷しゃぶやサラダ、あたたかいご飯にのせても美味しい薬味です。私はこれを万能薬味と名づけていろいろに使っています。密閉容器に入れて冷蔵庫に入れておけば、1週間はもちます。 ※炊きたての金芽米ご飯に万能薬味をのせ、削りたての鰹節をパラリとかけ、醤油を数滴たらして食べる「万能薬味とおかかのせご飯」は、それだけでも充分おいしく、食欲のないときでもご飯がすすみます。 (金芽米のおいしい炊き方はこちらをご覧ください。

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豚しゃぶ

【材料】
  • 豚バラスライス・・・300g
  • 塩・・・少々
  • 万能薬味・・・適量

  • たれ《a》
  •  醤油・・・大さじ3
  •  酢・・・大さじ2
  •  オレンジの果汁・・・大さじ1
  •  胡麻油・・・大さじ1/2
【作り方】
  1. お湯を沸かし、塩を加える。適度に切った豚肉をさっと茹でて水にとってから、汁気をきる。
  2. 茹でた豚肉の上に万能薬味をのせ《a》のたれをかける。
  3. ※オレンジやグレープフルーツなどの果汁を加えるとさわやかで、優しい酸味のたれになります。野菜類をプラスしてサラダ仕立てにしてもよいでしょう。

野崎さんからのワンポイント

豚肉を茹でたら、水にとります。氷水につけるのはやめてください。脂肪が固まっておいしくなくなります。余熱があるくらいがちょうどよいと思います。たれは、しょうゆ1に対して柑橘類の果汁1を合わせたポン酢をかけてもよいでしょう。胡麻油を少量加えると旨みがアップしますよ。

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冷や奴

【材料】
  • 豆腐・・・2丁
  • 万能薬味・・・適量

  • たれ《a》
  •  醤油・・・大さじ4
  •  味醂・・・大さじ1
  •  昆布・削り節・・・少々
【作り方】
  1. 鍋に昆布、削り節を入れ《a》の調味料を入れ、ひと煮立ちさせ冷ます。
  2. 豆腐を手で崩し軽く水気をきり、器に盛り万能薬味をのせ、のたれをかける。

野崎さんからのワンポイント

豆腐は包丁で切るより、手で崩したほうがおいしいのをご存知ですか。料理屋ではあまりしませんが、家庭だからできることです。たれもよくからみ、豆腐の風味が味わえます。万能薬味をたっぷりのせて召しあがってください。

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ところ天

【材料】
  • ところ天・・・2パック
  • 万能薬味・・・適量

  • 加減酢《a》
  •  だし汁・・・大さじ7
  •  酢・・・大さじ1
  •  薄口醤油・・・大さじ1

  • 削り節・・・少々
【作り方】
  1. 鍋に《a》を合わせ、ひと煮立ちさせ冷ます。
  2. ところ天の汁気をきり、器に盛って万能薬味をのせの加減酢をかける。

野崎さんからのワンポイント

加減酢はひと煮立ちさせると酢がツンとせずまるみが出ます。ところ天に限らず、きゅうりや春雨や魚介類などの酢の物に使えます。その場合も、もちろん万能薬味も添えるとワンランク上の酢の物料理になりますよ。

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吸物

【材料】
  • そうめん・・・1束
  • 万能薬味・・・適量

  • めんつゆ《a》
  • だし汁・・・800cc
  • 薄口醤油・・・100cc
  • みりん・・・100cc
  • 追い鰹・・・適量
【作り方】
  1. そうめんを茹でる。
  2. 《a》を合わせ煮立たせそうめんのつゆを作り、冷やしておく。
  3. そうめんを盛り、のめんつゆをはって万能薬味を添える。

野崎さんからのワンポイント

めんつゆは手作りして作り置きしておくと便利です。そうめんに限らず、冷麦や冷しうどんなど夏場の麺類にぴったり。また、焼きなすや野菜の煮びたしなどにも使える、万能つゆです。

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