蒸し物いろいろ

講師:南麻布「分とく山」総料理長・野崎洋光さん

蒸し物はやさしい味

蒸し物料理の代表的なものをあげてみましょう。魚介類を使った「ちり蒸し」「酒蒸し」「骨蒸し」、卵を使った「茶碗蒸し」「小田巻き蒸し(うどん入り)」「空也蒸し(豆腐入り)」などいろいろな蒸し料理があります。蒸したものをポン酢などのタレにつけていただくものや、片栗粉などでトロミをつけたあんをかけていただくものなどバリエーションも豊富です。 いずれの場合も、比較的淡白な味の食材が向いています。鯛や甘鯛、金目鯛やタラなどの白身魚や鶏肉などを主にするとやさしい蒸し料理になります。器に入れて蒸し、そのまま食卓に出せるようにする方法もありますが、何人分か一度に蒸す場合はバットか耐熱皿に食材を並べて、蒸すとよいでしょう。具材の大きさも蒸しやすいように切り分けて、具材が重ならないようにするとムラなく蒸しあがります。 よく蒸気のあがった蒸し器に入れ、強火で一気に蒸します。蒸し時間の異なる食材を組み合わせる場合は時間差をつけて蒸しますが、できるだけフタをとらずに、蒸し器の中の温度を保つようにしましょう。卵を使った蒸し物は火力を調節しながら、スが立たないように蒸すのがポイントです。フタをずらして蒸気を逃がし、静かに蒸すとなめらかに仕上がります。蒸し器内の温度と蒸し時間を調節することで、食材に応じた蒸し方をします。

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金目鯛の蒸し物(骨蒸し)

【材料】(5人分)
  • 金目鯛・・ 50g×5切れ
  • 白菜・・・・・・・2枚
  • ほうれん草・・・2/3束
  • 椎茸・・・・・・・5枚

  • 《a》
  • 魚(金目鯛)の骨
  • 水・・・・・・・ 700cc
  • 昆布・・・・・・5×5cm
  • 薄口醤油・・・・・30cc
  • 酒・・・・・・・・30cc
  • 塩・・・・・・ ・・適量
【作り方】
  1. 金目鯛に薄塩をし、30分おいてから水洗いし、水気をきっておく。熱湯で霜降りし、氷水にとってから水気をふき、汚れを取りのぞいておく。
  2. 白菜とほうれん草を色よく茹でて、白菜はザルに広げ、ほうれん草は冷水に5〜10分つけたのち、水気をきっておく。
  3. 巻きすにの白菜をひろげ、中心に束ねたほうれん草をのせ手前から巻いていき、ほうれん草が芯になるように巻く。形がくずれないようにして5等分に切る。椎茸は霜降りしておく。
  4. 《a》を鍋に合わせ、沸騰してからアクをひき、10分〜15分ことこと煮出し、だしをとる。その中に薄口醤油と酒と塩を入れて味をととのえる。
  5. バットまたは耐熱皿にクッキングシートを敷き、の金目鯛との巻き白菜、椎茸を入れ蒸す。
  6. 蒸しあがったら器に盛り、の汁をかける。

野崎さんからのワンポイント

「蒸す」という調理法は、じんわりと火が通るのでやさしい味に仕上りますが、ややもするとピントがボケたような味になります。そこで大切なポイントは、下味をつけることです。蒸す前に金目鯛の切り身に塩をふります。約30分くらいおいてからさっと水洗いします。これで下味が入りますので、仕上りが薄味でもしっかりと旨味があり、間のヌケたような味になることはありません。 もうひとつのポイントは、熱湯で霜降りにすることです。さっと湯通しすると魚独特の臭みや表面の汚れなどもさっぱりととれます。こうした下処理がとても大切です。ひと手間と思うかも知れませんがここだけは手を抜かないでください。添える野菜も下処理がポイントです。ほうれん草などアクの出る野菜はそのまま蒸すとアクが残り黒ずみます。白菜も茹でて一緒に巻き、余分な水分を絞って蒸すと色もきれいにすっきりとした味に仕上ります。魚とともに蒸す場合は、少し時間差をおいて入れるとよいでしょう。

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鶏の蒸し物(簡単ポン酢)

【材料】(5人分)
  • 鶏もも肉・・・・50g×5枚
  • 長ねぎ・・・・・・・ 1本
  • しめじ・・・・・ 1パック
  • 春菊・・・・・・・1/2束

  • 簡単ポン酢《a》
  • 醤油・・・・・・ 120cc
  • 酢・・・・・・・・80cc
  • オレンジの果汁・・40cc
  • ゴマ油・・・・・・20cc
【作り方】
  1. 鶏もも肉は一口大の大きさに切り、薄塩して15分おき、水洗いして、水気をふいておく。
  2. 長ねぎは4cmの長さに切り、3ヵ所に切れ目を入れておく。しめじは小房にわけ、熱湯で霜降りしておく。春菊は茹でて5等分にしておく。
  3. 《a》の材料を全部合わせてポン酢を作る。
  4. の鶏もも肉を蒸し器に入れ強火で7〜8分蒸してから、の長ねぎ、しめじを入れ蒸し、仕上がりまぎわに春菊を加え、蒸しあがったら、器に盛り合わせる。のポン酢につけていただく。

野崎さんからのワンポイント

鶏肉は、魚の蒸し物と同様に薄塩をふり下味をつけておきます。添える野菜はなんでもよいですが、ねぎはよく合いますので必ず加えるとよいでしょう。ねぎはただブツ切りにするのではなく、3ヵ所ほど切れ目を入れておくと火の通りもよく、中の芯だけツルッと飛び出すこともなく食べやすくなります。ちょっとしたポイントですが、試してみてください。味もしみ込みやすいのでおいしくいただけます。しめじも霜降りにするとクセがなくなり、持ち味が引き立ちます。きのこ類全般に霜降りの下処理をするとよいでしょう。 この蒸し物はポン酢でいただきますが、市販のポン酢に頼らずに自家製のポン酢を作ってみましょう。醤油と酢とオレンジの果汁が3:2:1です。オレンジの果汁は手近にある柑橘類の絞り汁でよいのですが、オレンジには酸味だけでなく甘味もありますので、おいしいポン酢ができます。

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野崎先生の直接指導で、楽しい「実習体験」

今回は、会場を渋谷の『電力館』に移し、参加者全員で実習を行ないました。野崎先生の料理のデモンストレーションのあとIHクッキングヒーターの説明を受けて、一斉にエプロン姿で蒸し物料理2品に取り組みました。野崎先生に直接わからないところを質問して手ほどきを受けました。先生の丁寧な指導やアドバイスがあり、5班に分かれた参加者の方たちも順調に調理をすすめ、見事に出来上がり、炊きたてのほかほか「金芽米ご飯」とともにいただきました。金芽米ご飯は、香りもよく甘みがあっておいしいと大好評でした。また、2品の蒸し物は、いずれも食材の持ち味が生きたあっさりと上品な旨味で、皆ビックリ。「本当にこんなに薄味でおいしいなんて驚きました」「食材を霜降りにするだけで、すっきりした味になるんですね」などの声が多く聞かれました。野崎先生に直接教えていただいて、参加者全員大満足! 大いに盛りあがりました。

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