【学会発表】 気候変動下でも「実際のおいしさ」を店頭で選べる社会へ 炊飯した飯を評価し、一貫した食味品質を実現する製造法を実証
東洋ライス株式会社(銀座本社:東京都中央区、代表取締役社長:阪本哲生)は、原料米をロットごとに炊飯して食味を測定し、その結果に基づいてブレンドすることで、あらかじめ設定した食味品質の精米を安定的に製造する方法を確立しました。本成果について、去る8月28日に東北大学で開催された「日本食品科学工学会第73回大会」において、当社技術陣と米・食味鑑定士協会会長が、「消費者へのサービス向上を目的とした食味表示精米の製造法」として発表しました。
米のおいしさは、産地・品種・産年だけで一律に決まるものではなく、その年の気候や生育条件、保管環境などによってロットごとに変動します。とりわけ近年は高温などの影響により、表示から抱くイメージと、実際に食べたときのおいしさに差が生じる可能性があります。現行の産地・品種・産年等の表示は食味そのものを示すものではないため、消費者にとっては、おいしさが「食べてみるまで分からない」という課題がありました。そこで当社は、炊飯したご飯の食味を測定し、その結果に基づいて製品を設計する方法の開発に取り組みました。
本研究では、人が食べて感じるおいしさ(官能評価)との関係性を踏まえ、味度(みど)メーターによる「味度(みど)値(ち)」を指標として採用しました。複数ロットの原料米を一つひとつ測定し、その結果に基づいてブレンドすることで、実際の精米工場において、設定した食味ランク別の製品を安定的に製造できることを実証しました。本技術の社会実装により、消費者は年産などのイメージだけに頼らず、自分が求めるおいしさを基準に米を選びやすくなり、購入後の期待とのギャップを減らすことが期待されます。
【開発の背景・詳細】
◆近年の気候変動にともなう米への影響と原料選定の重要性
米は、同じ品種であっても、その年の気候や生育環境及び保管条件によって品質や食味に違いが生じます。近年は高温などの影響もあり、産地・品種・産年だけで判断するのではなく、実際の品質と食味を確認して原料を選定することが、安定したおいしさを届けるうえで、これまで以上に重要になっています。
◆「味度値」を指標とした確かな食味評価
成分値から食味を推定するのではなく、一定条件で仮炊飯した米飯を測定する「味度メーター」の「味度値」を指標として採用しました。味度値は、人が食べて感じるおいしさとの関係性を重視した食味評価指標であり、試験研究機関や食味コンクール等でも活用されています。また、良食味米の生産に取り組む生産者の間でも、米のおいしさを評価する指標として味度値を意識する生産者が増えています。
◆ロットごとの変動に合わせた精密な製品設計
精米工場で受け入れる複数ロットの玄米を個別に測定し、異なる食味特性を持つ原料米を適切にブレンドしました。味度値によるランク分けに加え、米の粘りや食感の特性も考慮して製品を設計しました。
◆「食べてみるまで分からない」を減らし、納得して選べる米へ
実際の精米工場で検証した結果、原料米の年産にかかわらず、設定した食味ランク別の製品を安定的に製造できることを実証しました。年産や産地・品種だけでは分からない実際の食味を測定し、その結果を製品づくりに反映することで、消費者が求めるおいしさを分かりやすく示し、購入後の期待とのギャップを減らすことを目指します。
【今後の展望・本研究が目指す社会】
従来の産地・品種・産年・等級に「おいしさ」という新たな評価軸を加えることは、消費者、生産者、流通事業者を含む米産業全体の信頼向上につながると考えています。私たちが目指すのは、消費者が価格や年産のイメージだけで判断するのではなく、実際に測定・確認されたおいしさを基準に、自分の好みや用途に合う米を納得して選べる社会です。食味品質を分かりやすく表示し、選択に必要な情報を誠実に提供することで、日々の食卓の満足度を高めてまいります。同時に、生産者が産地や品種、等級(見た目)だけでなく、食味という本質的な価値でも適切に評価される仕組みづくりを進めてまいります。
